雑記

毎日の鼻毛抜きを記録してる

金で幸せは買えない話。幸せは人それぞれ。俺の幸せとは....

僕はトラックドライバーだ。19の時にこの業界に憧れて転職して2年と少しが経つ。

 

いきなりなんだと思っただろう。転職して2年、振り返ると高校を卒業してから色々なことがあった。お陰様で履歴書は真っ黒だ。

 

卒業時は別に車なんて興味が無かったし、なんならトラックドライバーのことなんて誰でも出来る仕事だとか、ブラックだとか、色んな偏見を持っていた。

 

その理由の多くはマナーの悪いトラックドライバーが「目立つ」からに過ぎない。悪い物はいい物より目立つ。

 

当たり前を当たり前のように受け入れ、求める。そういった世界だから、必然なのだ。

 

そう思っていた僕がこんな事を言える立場にはないんだが職業や職歴で人を見る人の事が僕は嫌いだ。

 

少し僕の卒業時からのことを振り返ろうと思う。僕は高卒で就職してから今に至るまで2度転職した。

 

 

最初は地方の土木ゼネコンに現場監督として入社した。

とてもワクワクしながら入社式に向かい、これから始まる新しい日々、見たことの無い世界、そういった未知に踏み入れることへの期待と一抹の不安を抱えつつも、キラキラした目で社会に飛び出た。

 

沢山の立派な先輩方に囲まれ、厳しくも優しい指導を受け一年を過ごした。

 

僕の配属した支所は若手が居らず、このまま頑張って資格を取り昇進を重ねれば、いずれは所長も目じゃないと言われたことを覚えている。

 

そうなるかならないかは僕次第だったが、一介の現場監督として地道に頑張れば昇給してある程度の社会的地位を確立できる立場にいたことは間違いないだろう。歴史のある会社で県内でもトップクラスのゼネコンだった。キャリアを活かした転職とかも考えれたのかもしれない。

 

ただ、その「周りの言う安定」を自ら捨てた。

僕は「自分がやりたかったことと違う道を歩いている」という現実に悩んでいたのだ。

 

たまたま最果テが解散して、たまたま後述する人物に声をかけられたことで転職を意識したと言うのもあったが、何よりも「俺はこんなことがしたくて社会に出たんじゃない」という疑問が僕の背中を押した。

 

今思えば、僕に内勤職はトコトン向いていなかったのだろう。とにかく現場に出たかった。パソコンや書類なんてクソ喰らえだ。太陽の元で体を動かしたい。そんな脳筋プレイがとことん好きらしい。

 

そもそも、僕は建築学科を卒業しており、何かを自らの手で作ることに憧れて入学したのだ。土木のことなんてこれっぽっちも知らなかったし、現場監督として指揮をとりたかった訳でもない。「自分の手で作りたい」のであって、「人を動かして作りたい」ではなかった。

 

そして僕は入社して1年でその会社を退職した。母校の恩師や会社の上司にはとても引き止められたが、1度決めた僕は止まらなかった。

 

それからは、前述した知人に誘われ個人事業主として大工になった。

....その後元請けであった知人と契約内容のトラブルや、それに付随する精神的なダメージで心身を痛めたことで事業に幕を下ろすのだが。

 

結果家もない、金もない、職もない。お陰様でプー太郎だ。ホームレスだ。いよいよ後がない。腎臓だったか肝臓だったか、2つあるやつの1個くらい売っぱらってもいいんじゃないか?

 

周りに言われた通り望まない道でも落ち着いていればよかったのだろうかと雑念が頭をよぎる。

 

しかし、僕はその状況を少し楽しんでいた。波乱万丈だ。してやったぜ。敷かれたレールなんて歩いてやるものか。人生は1度きりなのだから、やり直しが効く今のうちに「心の底からやりたいこと」を絶対に見つけてやる。

 

後がないのは確かだ。ただ、その結果前のレールで生きてる上じゃ経験できないことも沢山した。事業は潰れちまったが...笑

 

いつかこれが糧になる時だって来る。俺は社会をもっと知りたい。....ただこのままじゃ野垂れ死になのでヤバいのは事実だった。

 

それから僕は自動車関連企業の期間従業員になった。いわゆる期間工ってやつで、屋内で延々と自動車の部品を作る仕事だ。

 

気が狂いそうになるくらい仕事が大嫌いだった。給料は信じられないくらい貰えたが鬱になりそうだった。仕事が微塵も楽しくない。なんの為に俺はこんなことをしているんだ?生きる為か?

 

ともすれば、僕にとってこれは生きてると言えるのだろうか。そう考える日々が続いた。金が無いと苦労はするが、金を沢山得られることが幸せに直結する訳では無いと僕は悟った。僕にはやり甲斐という物が必要だったのだろう。

 

どの業種も需要があり、求める人がいるからこそ成り立っている。ただ、僕にとってこの仕事ではそれが見いだせなかったのだろう。人との関わりが希薄で、ロボットのように淡々と同じことを繰り返す12時間。一日がまるで1週間のようにも感じられ、僕はまたストレスで胃を痛めた。

 

太陽を浴びないと僕は耐えられないのだろう。ともすれば、僕は人間と言うより植物の方が正しいのかもしれない。そもそも人は太陽の元で狩りをして命を紡いで来たのだし、僕は野性的で構わない。

 

その期間も終わりが近づき、いよいよ再就職を決めないといけない。期間工生活をこれ以上続けることは僕の身体が辞めてくれと警笛を鳴らしている。このままじゃ投身でもしそうな勢いだ。

 

そうして僕はトラックドライバーという道を選んだのだ。

 

理由は単純で、卒業してから車の運転が好きになったことと期間工時代のバス通勤で巧みに大型車両を操る姿に憧れたからに過ぎない。

外仕事と言うことと、元より体を動かすことが好きだったということも後押ししてこの業界を決意した。

 

あれから2年、この業界に飛び込んで後悔したことは1度も無い。毎日が楽しくて堪らないのだ。

 

命の危険と隣り合わせで、社会的責任もある。人の命も自分の命も奪う可能性があるのだから。そんな重さを抱えているにも関わらず僕はこの仕事が好きだ。胸を張って何度でも言おう。大好きだ。

 

僕のことを馬鹿だとか、勿体ないと言うやつがいる。そういった価値観の人もいるのだろう。

なにせ、たったの1年間の間に3回も仕事を変えたのだ。「世間」ってやつからは褒められたことじゃないのかもしれない。いくらでも嗤うがいい。僕は幸せだ。

 

こうして、色んな業種に片足突っ込んだりしてきて気がついたことが幾つかあるんだ。

 

まず1つは、どの職業も素晴らしい物だ。それを求める顧客がいて、提供する人がいる。当たり前の事だ。どの仕事だって必要とされていて、その必要とは需要だけでなく「その仕事をやりたい」と願う気持ちも含む。

 

2つ目は、給料の額で幸せか不幸せかなんてのは分からないと言う事。人によるのかもしれないが、僕は金で幸せは買えないと強く思った。金が与えてくれるのは安心なのかもしれない。

不安=不幸とも捉えれるかもしれないが、上なんて見れば幾らでも居るんだ。一定水準以下は幸福度でいえば乏しいのかもしれないが、一定のラインさえ越してしまえばそこから先はその人次第だと思っている。上ばっか見てるより、周りを見渡してみるとたくさんの発見があることに気付かされる。

人生の楽しみ方なんて、見方一つだ。

 

 

転職を繰り返すことが素晴らしいことだと言うつもりは無い。ただ、「僕にとってその価値観は違った」それだけの事だ。

 

時代は変わっていく。昔は今とは違ったかもしれないが、自分に合った場所を見つけるというのは大切なことだと思う。

 

転職歴に後ろ指を指すのも、転職を恥じないのも自由なのだ。ただ、誰しもその人のことを全て理解することは出来ない。僕の意図や歩いてきた道を、今これを読んでいる貴方が全て知ることができないように。人の心は明文化できない。

 

結婚などを考えればそういった視点も必要なのかもしれないし根本から否定する気はサラサラない。僕だって昔は仕事を底辺とか区分けして見ていたこともあるから。

 

後ろ指を指す人の気持ちも、指される人の気持ちも分かる。

だからこそ、これを見ている人の中に刺す側の人がいたなら伝わって欲しい。

 

僕は幸せだ。今のこの仕事が心の底から大好きでまだまだ自分のスキルを磨いていきたいと思っている。

 

そんな僕はみっともない存在だろうか?

それとも、職業で人を図る人の方がみっともないだろうか?

 

どちらに捉えるかはそれぞれの価値観に過ぎない。

 

僕が最初に選んだゼネコン。その決め手になったのは求人の中で建設業で1番給料が多くて休みも多い。単純に安泰な会社だった。

 

それだけの理由で仕事を選んだことで、色々と迷走してしまったという事実から、一人一人の価値基準で自分に合った仕事を探すということがどれだけ楽しい事だったかを知って欲しい。最初からそれが見つけられれば万々歳なんだけど。

 

人生はそれぞれだ。道を違えても誰しもが幸せを追い求める。そのくらい、「幸せ」ってものは魅力的な事なんだろう。

ただ、その幸せには定義がない。安心/安定を幸せと捉える人は金銭や社会的地位に目がいくだろう。

そして、僕のような「楽しく稼ぐ。その金で楽しく生きる」という人はやり甲斐を求める。

 

その両者が相入れることはないのかもしれないし、そのふたりが出会って幸せになるというのは難しいのかもしれない。

ただ、お互いがそれぞれ幸せを追い求めているのは同じなのだから、いがみ合ったりせずそれぞれを尊重していけるようになれたらと思う。

 

僕のこの考えを見て、そう改まってくれる人がいたならこれほど嬉しいことは無い。僕は幸せだ。君も君の幸せを探して欲しい。行く先は違えどお互い頑張っていこうぜ。

 

そんなこんなでトラックドライバーデビューした僕も遂に1つ階級が上がるようだ。来年からは今までより一回り大きな車両で、より多くの荷物を運ぶ仕事を任される。

 

既に楽しみだ。ずっと待っていた機会が遂にやってきた。上司からその提案を受けただけで舞い上がった。本当にスキップしたくらいに嬉しかった。こんな感覚は初めてかもしれない。

 

浮かれすぎると事故の元になるので落ち着きつつも、それでもやっぱり楽しみで仕方がない。

誰に何を言われて後ろ指を刺されようと僕は今を生きている。この今を全力で楽しんでいる。その事実を奴らに突きつけてやりたい。人の歩いてきた道を手前の物差しではかんじゃねぇ!!

 

そうして、新しい未知に踏み出すことへの期待と不安を胸に、僕は今日もハンドルを握るのだった。